大山倍達:思い込みの力とカリスマ性 ―前編― [芸スポ]
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(そうだ。ビール瓶を切ろう!)
これは、とある空手の師範の話である。
(まじか!?)
それは偶然起こった。
「・・・・・・・・・・・・・・」
大山は首の部分が切れたビール瓶を前に、いまだに信じられないという面持ちで
口をあんぐりとあけていた。
たまたま調子がいいときに、思い付きで挑戦してみたビール瓶切り。
まさか、こんなにもたやすく成功してしまうとは...
「・・・・・・・・・・・・・・」
ようやく自分が成し遂げた偉業に現実感が追いついたとき、大山の体は歓喜に打ち震えていた。
「ィヨッッシャアァァ!!」
その日はもう稽古どころではない。
一日中、小躍りしていた。
しかし、所詮は偶然の産物である。
その後の成功率は、絶望的に低かった。
たぶん1パーとか、そんなもん。
「・・・・・・・・・・・・・・」
(こんな未完成な技、とても門下生の前では披露できんな。失敗したら恥ずかしいし...)
喜びも束の間、大山は「伝説のビール瓶切り」を封印したのであった。
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少し時がたった頃。
「先生っ。ビール瓶を手刀で切ったというのは本当ですか!?」
噂を聞きつけた門下生たちがどっと押し寄せてくるではないか!
「・・・・・・ええ、まぁ。」
突然の思いがけない質問に内心ドキっとしながらも、なんとか表情だけは威厳を保つ大山。
(どっからその情報もれたンだよっ!!)
そんな大山の動揺を知る由もない門下生たちの波状攻撃は続く。
「いつ成功したんですか?」
―「1か月前くらい。かな」
「なぜ教えてくださらなかったのですか?」
―「自分の技が一番拓けるのは、稽古に夢中になって、
頭の中が空になったときである。教えることすら忘れるほどの境地にいたのだ」
「どうすれば私たちもビール瓶を切れるようになりますか?」
―「一に力。二に速さ。三に技。わかるかな。ちょっとお前らにはまだ早いかもな」
「もう少し具体的にお願いします!」
―「継続は力なり。神技に達することは、その神技自体よりも、
その過程が、人間にとって大切なのだ」
(もうヤメて!!)
尻汗をかきながらそれらしい答えで門下生の猛攻撃をさばく大山。
自分は常に門下生たちの希望でなければならない。
彼を必死にさせる理由はそれだけで十分だった。
まだ納得できていないという顔の門下生たちに、大山は最後の道しるべを提示する。
後半へ続く。⇒大山倍達:思い込みの力とカリスマ性 ―後編―
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(まじか!?)
それは偶然起こった。
「・・・・・・・・・・・・・・」
大山は首の部分が切れたビール瓶を前に、いまだに信じられないという面持ちで
口をあんぐりとあけていた。
たまたま調子がいいときに、思い付きで挑戦してみたビール瓶切り。
まさか、こんなにもたやすく成功してしまうとは...
「・・・・・・・・・・・・・・」
ようやく自分が成し遂げた偉業に現実感が追いついたとき、大山の体は歓喜に打ち震えていた。
「ィヨッッシャアァァ!!」
その日はもう稽古どころではない。
一日中、小躍りしていた。
しかし、所詮は偶然の産物である。
その後の成功率は、絶望的に低かった。
たぶん1パーとか、そんなもん。
「・・・・・・・・・・・・・・」
(こんな未完成な技、とても門下生の前では披露できんな。失敗したら恥ずかしいし...)
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少し時がたった頃。
「先生っ。ビール瓶を手刀で切ったというのは本当ですか!?」
噂を聞きつけた門下生たちがどっと押し寄せてくるではないか!
「・・・・・・ええ、まぁ。」
突然の思いがけない質問に内心ドキっとしながらも、なんとか表情だけは威厳を保つ大山。
(どっからその情報もれたンだよっ!!)
そんな大山の動揺を知る由もない門下生たちの波状攻撃は続く。
「いつ成功したんですか?」
―「1か月前くらい。かな」
「なぜ教えてくださらなかったのですか?」
―「自分の技が一番拓けるのは、稽古に夢中になって、
頭の中が空になったときである。教えることすら忘れるほどの境地にいたのだ」
「どうすれば私たちもビール瓶を切れるようになりますか?」
―「一に力。二に速さ。三に技。わかるかな。ちょっとお前らにはまだ早いかもな」
「もう少し具体的にお願いします!」
―「継続は力なり。神技に達することは、その神技自体よりも、
その過程が、人間にとって大切なのだ」
(もうヤメて!!)
尻汗をかきながらそれらしい答えで門下生の猛攻撃をさばく大山。
自分は常に門下生たちの希望でなければならない。
彼を必死にさせる理由はそれだけで十分だった。
まだ納得できていないという顔の門下生たちに、大山は最後の道しるべを提示する。
後半へ続く。⇒大山倍達:思い込みの力とカリスマ性 ―後編―
*画像・名言の出典:『大山倍達 - 国際空手道連盟 極真会館 総本部』
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